思っていたよりずっとエンタメで、面白かったのでお知らせしますw
おじいちゃん2人が、座っておしゃべりしてるだけ。
それなのに、この緊張感を出せるのは、おしゃべりしてる2人がそこら辺の一般的なおじいちゃんじゃないからでしょうねw
2012年にバチカンで設けられた当時のローマ教皇ベネディクト16世と翌年に後継者となる枢機卿ホルヘ・マリオ・ベルゴリオとのやりとりに着想を得た作品。
アンソニー・ホプキンスとジョナサン・プライスというぶっちぎりのおじいちゃん2人が主演なので、マイケル・ベイの後には極端に画面が落ち着きすぎw
若さもセクシーも刺激も足りないのに、それでも映画としては挑戦意欲の高い野心的なエンタメとなっていた。
ローマの教皇さんたちをイジれるかってのはありますよねw
繊細な題材だし、実際の出来事をネタにしてるし、スゲー気も使いそうじゃないですか。
でも、心配ご無用でしたw
ちゃんとやるべきことはやっていた。
土台はシリアスな姿勢での人間ドラマで作ってるけど、笑いがちゃっかり取られてるのだw
クソ真面目で堅物な教皇と庶民的で柔軟な枢機卿。
この決定的に真逆なキャラの違いから生まれるギャップが面白おかしく演出されていた。
ユーモアのセンスが程度良く上品に決まっていて、効果的。
かつてあえて触れられてこなかったし、描くことができなかった世界と闇の部分への深掘りももちろん忘れていない。
隠したい歴史や恥や後悔が、2人の口から吐露されていく後半なんかは感情が予定外に揺さぶられた。
ちゃんとビジュアルとして踏み込んでいく度胸もあって、本作が本気たる所以。
まるでドキュメンタリーを見ているような臨場感で表現されていて、迫力が違った。
現代だから成し得た作品。
時代の流れや変革を感じさせるネトフリらしい精神力で作られた企画と言えます。
ローマ・カトリック教会という巨大組織があり、伝統的なシステムは長く守られてきたが、時代は変わるし、社会も変わってしまう。
変化に適応できないシステムは淘汰されてしまうのだ。
変えるべきものを変える。
そんな当たり前のことに踏み出せる人物は実はとても少ない。
勇気がいることだから。
その意味でもここで起きた出来事は、重要だし、転換期を迎えたのだと実感させる物語。
教義を理解する基本的な考えは反発し合い、異なる生き様でも、目指す場所は一緒であり、そこに向ける気持ちで結束されるのだ。
それが2人のローマ教皇が紡いだ「友情」だった。
実態のない神という人間が作り出した偉大なる概念に仕えて、自分というエゴを捨て、信仰心を持ち続けるという難しさも描かれる。
『2人のローマ教皇』は地味な画が続く対話劇なんだけど、特殊な世界での価値観のやりとりが秀逸。
カトリック教会の裏側で苦悩する現役教皇と辞任を求める枢機卿が、本音を語り合う姿が印象的。
そこから描かれるのは人間的魅力と宗教的葛藤。
そして、聖職者としての覚悟。
間違いなく傑作でした。
オレが求めているのは世界平和と本場イタリアのピザという事実も間違いないですw