Netflixオリジナル 食用豚と無垢な少女が社会に振り回される『オクジャ』って映画。

スポンサーリンク

オクジャって何のことなのか知りたくて観ましたw

主役の豚の名前でしたw

この映画は豚がペットのように人間の友達として登場しちゃいます。
ほとんど猫や犬みたいに家族の一員的存在です。

でも、食用に遺伝子組み換えで作られたスーパーピッグなんです。
つまり、要するに食べ物ですw

食糧不足が深刻な近未来の世界。
その解決策がこのスーパーピッグ。

デカくて、健康的で、ちょっと可愛くて、なによりすげーウマいw

どんだけ可愛くても豚肉でしかない。

そんなオトナの事情など知る由もない韓国の山奥に住んでいる世間知らずの少女ミジャは、スーパーピッグの生みの親である多国籍企業によって移送されてしまったオクジャを取り戻そうと奔走します。

そこに動物愛護団体なんかの思惑も絡んで、しっちゃかめっちゃかな騒動に発展していくのだ。

オクジャがあんな目に遭ったり、こんな目に遭ったりしてマジで気の毒になったし、オクジャを追いかける少女の直向きさにも胸が熱くなったりします。

オクジャと少女の仲の深さは前半にじっくり描かれるので、すっかりオクジャがただの食用豚だってことを忘れさせてくれる巧妙な作りなんですが、
そこがこの映画の作戦だったんですよねw

「あぁ、オクジャを早く助けてあげて!」

そんな人道的で、心優しい気持ちになってもみるんですが、やっぱオクジャはしょせん食い物じゃんとw

「オクジャは豚肉」

常にそこだけは心のどこかに持ちながら、オクジャと少女とオトナたちの入り乱れた争いを見物し続けることになります。

食用の豚なのにいつの間にかオクジャに肩入れしてしまっているのは、やはり人間って「ペット」と「家畜」を自分の都合よく分別しているんだなって気づかされるわけです。

だって、猫や犬が同じ目に遭うなんて想像したくないですからね。
多くの人が猫や犬を食べないからです。

結局ポン・ジュノさんが言いたいことは「現実を見ろ」ってゆーね、それだけなんだと思いました。

豚は食い物だし、農家に育てられて、業者に預けられて、ちゃんと加工されて、商品として食卓に届くのって凄くありがたいですよねって思うわけです。

やっぱ社会って巧く作られてるなって思う。
文明である以上は人間が優先されなければならいし、子供の気持ちより大人の知恵の方が社会では役に立つ。

社会とは大人の世界なんだって冷静に思うわけです。

この映画では、大企業が少女をだまして、オクジャを殺そうとする欲深く、冷酷な悪者のように見えますが、実際は普通の健全な企業活動をしているに過ぎないのだ。
真っ当なビジネス以上でも以下でもない。

そもそも資本主義社会とはこーゆーものだし、その中で俺らは生きているし、毎日生きるのが大変すぎて「殺された動物」を食べている罪悪感なんぞにいちいち苛まれている暇などないのだ。

豚は殺される運命で、豚を食べないと人は生きることが出来ない。
そして、豚はおいしいのだ。

危機的な食糧不足に悩まされているという現実が物語の背景にあるわけで、豚が食料になることで人間は飢えずに済む。

ラストで少女は、殺されるのを待つ多くの豚を目の前にして、過酷な状況に向き合う。
少女が知らなかった現実がそこに広がっているわけです。

認めたくはないし、できれば見て見ぬふりをしたいのが現実ってヤツなんだと思います。

社会は人間のもので、大人が支配しているため、最も弱者である「動物」と「子供」がその社会に振り回される話でした。

企業は当然利益を求め、動物愛護団体は自分たちが納得している活動をしているに過ぎないし、その他大勢は豚肉が食べたいのだ。

ポン・ジュノは地に足のついた人なので社会を理解しているし、今回も当たり前のことを描いているが、ちゃんとエキサイティングなエンタメとして楽しめるように作っているのが偉い。

前作の『スノーピアサー』でも、格差社会の現実を特急列車の車両に見立てて、インテリで面白い映画を作っていた。

どちらとも基本的にブラックコメディだが、『オクジャ』ではさらに洗練された印象だ。

やっぱこーゆー才能も実力もある人に、お金を使わせないとダメですよね。
そこが証明された一本だと思う。

この映画はネットフリックス配信ですが、劇場映画に匹敵するクオリティだった。
もはや配信が劇場映画を超越している印象さえある。
それぐらい至極真っ当な大作。
スケールがデカいし、アクションシーンも迫力満点で、カメラとか凄いよね。

なんつっても、キャストが結構豪華。

ティルダ・スウィントンもジェイク・ギレンホールも演技がなんとゆーか、ド派手w
狂人すぎるティルダ・スウィントンとアホで変態なジェイク・ギレンホールのヤバさw

この2人を観るだけでも価値が高い。

ポール・ダノは常識人のようでちょっと外れている感じも絶妙。
リリー・コリンズは相変わらず可愛いので、途中で『ハッピーエンドが書けるまで』を観たくなる可能性が高い。

食欲を刺激されて豚肉を食べたくなる可能性はもっと高いがw
それが『オクジャ』だ。

公式サイト

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする