SFが得意分野のNetflixによる『アイ・アム・マザー』ってのを観た。
人類死滅後にどっかのシェルターで、アンドロイドが人間を胚から育てて、自分がマザーとなって娘と一緒に暮らす話。
アンドロイドのマザーさんがどんな理由で人間を育ててるのかが分からないので常に不安で仕方ない。
マザーさんの腹の中というか、コイツに設定されたプログラムの目的って部分でどーゆーつもりなのかってのがミステリー。
高度なAIなんだから、ただの寂しさとかなわけないですから。
疑惑の眼差しを向けながら、マザーさんが人間の子供の母親やってるという特殊な関係を見守るしかない。
娘も成長し、思春期になって自分の置かれた状況に冷静に疑いを抱き出す。
そこに外部から人間の女が助けを求めてやってくるのだ。
この女が醜悪なヒラリー・スワンクというのが悲劇w
死滅したと聞かされていた人類が生きていたわけで、娘は愚かにもヒラリー・スワンクなんかに惑わされてマザーさんに不信を高ませていく。
ここから疑心暗鬼なサスペンスが展開して、終盤はかなり怖いw
マザーさんの声を演じるローズ・バーンの演技力とか感動するし、動きもひとつひとつが繊細で、饒舌なのだ。
人間らしくなさすぎず、機械すぎもしない絶妙な造形なのがこのストーリーにリアリティを生み出している。
表情なんて一個もないんだけど、こっち側でマザーさんの胸の内なんかを想像させてくれる演出力。
主演の娘役の女優もデビュー作とは思えない迫力で、若手の有望株なんじゃないでしょうか。
限定空間での心理劇な趣もあるが、この特殊な状況がSFすぎるので、やっぱSFですね。
全体としてはマジメで、インテリなSFスリラー。
意味深なラストも含めて頭が良かった。
公式サイト
『マーダー・ミステリー』ももちろん楽しめました。
倦怠期の夫婦が遅めの新婚旅行に出かけた先で出会った金持ちのパーティに参加したら、殺人事件に巻き込まれる話。
アダム・サンドラーなんてどう考えても死ぬほど面白い人だし、下品すぎない芸風も好き。
ジェニファー・アニストンなんて結構美人でセクシーにも関わらず、やたらと面白いという珍しいタイプで、男女共に指示される魅力の持ち主だ。
そんな二人が夫婦役なんだから、絶対に面白いに決まってるのがコレ。
すでに自分の中ではひとつのブランドとして信頼してるので、このキャストなら安心しかなかった。
この面白くて仕方の無い二人が全編でムダにボケまくり、ツッコみまくる。
その相性抜群っぷりは天才的で、その芸の完成度に深く感動さえする。
誰にも止められないし、それは殺人事件の真っ只中でも例外ではないのだ。
この映画は、つまり『マーダー・ミステリー』。
「殺人ミステリー」ってことなので、このジャンル映画自体がネタになったパロディとして作られている。
アガサ・クリスティがやっているようなことが行く先々で起きるんだけど、それがネタになっているので、緊張感があるはずの場面でも圧倒的に笑えるのだw
だけど、ただの悪フザけじゃなくて、ミステリーとしてちゃんと作っているのがさすが。
アダム・サンドラーもジェニファー・アニストンも連続する殺人事件を解決したいんだけど、全力で笑わせにかかってくる神がかり的な漫才気質で、最後まで謎と笑いがテンポ良く展開する。
楽しみましょう。