ノンキなこと言ってちゃいけません。
いやいや、『ハード・ターゲット』なんてもう遠すぎる過去の話です。
あんなもんは90年代の古めかしくて、ただのこれみよがしにスローモーション多用しまくってるのがカッコいいと思い込まされて、ヴァン・ダムが二丁拳銃構えながらムダに開脚回し蹴りしてるのが最先端アクションだった時代の陳腐でクサいジョン・ウー映画です。
オレは自慢げにDVD持ってましたw
令和のナウい人間狩り映画と言えば、『ガンズ・アキンボ』で決まりです。
何かの間違いかと思うほどめちゃくちゃ面白いです。
今こそプライムビデオで観れますので、絶好の機会を逃しちゃダメ。
たまたま見つけた闇サイトの殺人ゲーム実況で、日ごろのストレス発散だと楽しくクソリプ送りまくってたら、運営側の危険な悪党たちに目をつけられてしまい、自宅があらま襲撃。
起きたらなぜか両腕に拳銃装着してて、思わぬガンズ・アキンボになってしまい、命がけの殺人ゲームに強制参加させられるしがないゲームプログラマーの災難。
ユーザーにも大人気の最強の人相悪すぎる荒くれ凶暴殺人者エックスちゃんがやってきて、ハチャメチャな銃弾の嵐は容赦なく止まらない。
『ハード・ターゲット』鑑賞中のテレビも粉々に粉砕のお気の毒仕様で、しがなくも平和な日々がこれでもかと崩壊。
ガンズ・アキンボとしてエックスちゃんと戦って勝たないと、人質に取られた元カノ殺されますよという仕打ち。
あまりにも唐突で、乱暴な展開なので、どんな世界のどんな理屈の話だよとツッコミたくはなるが、そこは有無を言わせないノリが大事。
やってることはめちゃくちゃすぎるが、勢いでひたすらオラオラと押し切る『ガンズ・アキンボ』はマジで面白すぎる。
暴力もストーリーもギャグも過剰に、元気にブットばしてました。
なんつっても、ダニエル・ラドクリフがとにかく器用すぎる。
ハリポタなんぞは大金稼いで成功するために実は仕方なくやっていただけで、役者としてやりたい放題の真骨頂発揮してるのが実はハリポタ終わった後の恐るべき変態フィルモグラフィなのかもしれない。
やたらと顔色悪くて、無精ひげの闇抱えた変人役を好き好んで演じたがるダニエル・ラドクリフがネット依存でオタクの冴えないアホの役を熱演。
あまりに上手すぎて一級品の芸術になってしまうのだ。
ラドクリフさんの気品さえ感じさせる天才芸達者ぶりによって、本作は雑な部分さえ払拭する魅力をもたらして余りある。
ひたすら面白くて仕方ない。
危険な笑顔で大暴れするサマラ・ウィーヴィングの人殺しの変態女エックス役も最高。
『レディ・オア・ノット』『ザ・ベビーシッター』どころじゃない一番楽し気なサマラ・ウィーヴィング。
そんな主役二人の素晴らしさと全編を覆い尽くすやりすぎなキチガイ表現が豪快に楽しませてくれる『ガンズ・アキンボ』は傑作でした。