娯楽映画をきっちりと撮れる。
これは実は簡単なようで、とっても難しいんじゃないかって思うわけです。
実際にこなせる監督って意外と少ない気がします。
そつがなく、破綻もなく、自分の趣味に走らずに、ポリシーを持って、鑑賞者を楽しませることを最優先で考えられる才能の持ち主。
それが何を隠そうジャウム・コレット=セラって人なんだと思います。
再びリーアム・ニーソンとの組み合わせによる最新作『トレイン・ミッション』を観たんですが、本当に素晴らしかったです。
ちゃんと面白い映画を観たという満足感がハンパなかった。
映画好きで良かったって素直に思えた。
作品自体は、言ってしまえばセラさんの『フライトゲーム』を列車に舞台を変えて作り直したって内容でしたw
しかしながら、セラさんはしっかり者なので、鑑賞者を飽きさせることがまずない。
マメというか、気配りが上手いんでしょうね。
冒頭から主人公に共感させ、人生に引き込んでいくような説得力。
そこからはまるで娯楽映画の見本のような手腕を見せてくれる。
あらゆる表現にセラさんの自信と余裕が光っていた。
ミステリーの仕掛け方、サスペンスの作り方、テンションの高め方、キャラクターの使い方、ストーリーの盛り上げ方、そして締めくくり方。
すべてが見事にキマっていた。
これ以上誰も修正できないような仕上げ具合で映画として提出してきた。
これに文句言えるヤツなんていない。
セラさんという監督は、80年代で言うところのジョン・バダム(代表作『ブルーサンダー』『ウォーゲーム』など)であり、90年代で言うところのウォルフガング・ペーターゼン(代表作『アウトブレイク』『ザ・シークレット・サービス』など)みたいな安心感を与えてくれる。
強烈な個性や作家性を持たないが、誇り高き職人気質で、誰もが楽しめる完成度の高いエンタメを作れる天才。
この『トレイン・ミッション』だって、後半からだいたいどうなるか予想はついてくるのに、いつまでも緊迫感が途切れなかった。
スリルと興奮とドラマをこれでもか展開させ、胸を熱くさせてくれた。
画面が暗くなるラストの一瞬まで鑑賞者のことだけを考えていた。
「コレット=セラさん、さっすが!」
そんな言葉を本人にかけたくなるような感心しっぱなしの超一級エンタメだった。
ちなみにコレット=セラさんのベスト5を発表すると次のようになりますw
1位 『エスター』
2位 『トレイン・ミッション』
3位 『ロスト・バケーション』
4位 『蝋人形の館』
5位 『フライトゲーム』
うんうん。
全部やたらと面白かったもんなw
アナタもぜひ映画館で、セラさんの唯一無二の職人技に唸ってください!