『ナイチンゲール』

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有名な人ですよね。
ナイチンゲールさん。

みんなにもおなじみのあのナイチンゲールさんの人柄と偉業について知ることができると期待満々に思ったのに、実際は全然違う話でしたw

ナイチンゲールって呼ばれてる主人公のただの芸名というかねw

ナイチンゲールどころか、名前はとても普通に一般的にクレアさんでしたw
がははw

いや、作品は悪ふざけ一個もなしの神妙顔でした。

思ってた内容とはだいぶ違いましたが、凄く面白かったです。

なんかもっとシンプルでストレートな復讐バイオレンスだと思い込んでましたね。
映画的な「ファンタジー」を想像してました。

軽い映画だと思ってんですよねよーするにw

『パトリオット』のメルギブよろしくナイチンゲールさんがブチ切れて暴れまくるタイプのヤツじゃなかったんですねw

オーストラリアの植民地時代に、鬼畜なイギリス将校と部下たちによって強姦された挙句、夫を撃ち殺され、赤ん坊を叩き殺されたアイルランド女囚が復讐のために先住民族のアボリジニーの道先案内人を雇って、山を越え、谷を越える話。

この一緒に旅をする羽目になる相棒的な役割のアボリジニーの黒人さんがメチャクチャに仕事できるヤツで、思考も冷静で、賢く立ち回る。

復讐したいという気持ちばかりが先行して無知で役に立たないクレアさんとの関係性が良く描き分けがされていた。

そして、そんな2人が分かり合う中で、当時のオーストラリア植民地時代の暗黒すぎる陰惨で哀しい歴史に目を向けることになるのが鑑賞者。

虐げられる女性や個人の復讐や人でなしな目を背けたくなるような暴力なんかはただの一面的な要素に過ぎず、監督が本当に描きたかったストーリーがはっきりと浮かびあがってくる後半。

冒頭こそは主人公クレアさんの衝動的な怒りに寄せて展開していくんだけど、途中でその熱い気持ちが「現実」に抑え込まれるんですよね。
クレアさんは別に殺し屋でもないし、軍人でもない無力な奴隷の女性なので、まぁね、そりゃそうですよw

人を憎むのは大変。
人を殺すのは大変。

普通の神経の常識人と同様に、クレアさんは疲れ果て家に帰りたくなるのだ。

でも、鑑賞者は作品に込められた本当の意味の「怒り」を理解することになる。

勝手にお気楽な復讐エンタメなんだと思わせてくれたけど、『ナイチンゲール』はそんな浅はかな映画じゃなかったですねw

あまりに残酷で、あまりに感動的な映画だと確実に言えますね。

あらゆる理不尽な差別と不寛容に対してのメッセージ性を掲げたスゲー生真面目で、情感の深い人間ドラマでした。

勉強になりましたw

忘れちゃならないドス黒い歴史なんですよと。
まぎれもなく人類がクソ戦争を起こしたんですよと、この土地で本当にクソみたいな悲劇があったんですよとね。

自らもオーストラリア出身であり、先の戦争で犠牲となった人々の苦しみや悔しみを憐み、大切に想うジェニファー・ケントさんは、表現に一切妥協せずにちゃんと教えてくれました。
監督さん、素晴らしい人だと思いました。

ラストのナイチンゲールさん、あまりにいい顔してた。
傑作。

公式サイト

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