なんだこれ?!w
率直にはそんな感想しか出てこないのに、なぜか凄く面白かったと思えてしまう映画。
意味はまるで分からないのにやたらと面白い映画ってたくさんあるけど、これもそんな一本でした。
『マザー!』は作品を文字通りに捉えると本当に意味が分からないので、鑑賞後にネットでいろんな情報を集めてようやく理解に近づけるという程度。
鑑賞しながら理解するのはムリすぎるので、途中で諦めるしかありませんでした。
「マジかよ!」って呆然とするしかない展開が次から次へと繰り広げられて、なんかワケもわからず終わったという感じw
ワケは一個もわからないのに、最後までグイグイと引き込まれて、気づいたらちゃんと見終わっているというのが素晴らしい体験だったw
考える隙さえ与えてもらえないカオスなストーリーのブットばしぶりに加えて、絶妙に豪華なキャストがいきなり登場してはあっさり去っていくのだ。
脳と精神がとにかく圧倒され続けた2時間でした。
主人公の「何が起きているのか分からない」という気持ちとシンクロして、その不条理極まりない状況に引きずり込まれていく。
周囲だけがめまぐるしく展開して、主人公だけが蔑ろにされ、置いてけぼりにされていくという放置プレイ。
それがまさに鑑賞している側の気持ちなので、同様に凄くイヤ~な気持ちにさせられる。
そこがまた意図的なんでしょうけどw
後半は本当に凄いです。
凄いとしか例えられない。
無知すぎるオレは後で分かったんだけど、これは人類・宇宙に関わる壮大なストーリーだったんですね。
いやぁ、なるほどと思いました。
確かに「その手の話」として前提で考えると、すべてがしっくり来ますし、意味も通じます。
ダーレン・アロノフスキーさん本人が白状しているように、この作品は一般向けではなく、ある「特定の人たち」に向けて作られたらしいですw
ほとんどメタファーだけで成り立っているような映画なので、ピンとこない人にはまるでピンとこないので、ただの支離滅裂な狂った映画としか思えないでしょうw
だけど、こーゆーやり方もアリかなと思います。
かなり挑戦的で、刺激もありすぎるし、生理的に不快だし、物議を醸しそうな表現と物語であり、賛否両論あるのも納得はします。
この監督はこれまでも物議を醸してきた作品を作ってきたけど、今回以上の作品はないと思う。
やっぱこの監督は上を行ってますよね。
センスが違うというか、見ている景色が違う。
だから映画も違う。
誰も真似できない神業を成し遂げてくる。
すべてにおいて抜きん出ていて、先の先を走っている作品。
『マザー!』はダーレン・アノロフスキーの現段階におけるひとつの到達点かもしれません。
『レクイエム・フォー・ドリーム』のクスリで正気じゃない登場人物のようなトリップ感に襲われ、『ブラック・スワン』を超越した究極のメタファー映画であり、しかも、前作が『ノア 約束の舟』なんてまさに運命としか思えないw
思想という意味でも、映像表現においてもこれはダーレン・アロノフスキーの集大成として見逃す手はない。
軽い気持ちで誰かにオススメはできないが、映画好きなら一度は観ておきたい重要作だ。