これは地味にスゲー傑作でした。
なんでしょうね、このとんでもないサスペンスはw
イーサン・ホークさん演じる孤独な牧師が精神病んで、現実に絶望して、自暴自棄になって、自爆計画立てちゃう話。
家庭の破綻という環境と癌による肉体の衰弱と共に、信徒の自殺を引き金にネガティブな思想に触れてしまうことで、内面の変貌をコツコツと遂げていく。
大企業と癒着してる教会組織に落胆して、自らが抱える個人的な苦しみも終わらせるためにテロまで起こそうとまで思っちゃう。
地味なんだけど、やっぱ演出にしっかりとした自信とパワー感じたな。
脚本・監督がなんとポール・シュレイダーさんってことで、まさかの現役っぷりに感動しました。
まだまだボケてない。
どころかそんな兆しがないよねw
この人、原始時代の70年代から映画作ってる人ですからねw
まだこんな研ぎ澄まされた頭の冴えと文句の一つも言わせないスキのなさを見せるなんてイーストウッドとかスコセッシの領域。
こんなイイ話はイーサン・ホークさんのキャリア最高の演技によって完全な傑作に成り立っているのだ。
いつ以来か知らないが、こんな本気なイーサン・ホークさんは久しぶり。
とんでもない表現力で、ほぼアカデミー賞も失神するような必殺技が繰り出された。
主人公が牧師ってことで、宗教的な激しい葛藤なんかも当然あるので、暗い部屋でノートにブツブツと小難しいつぶやきを綴るイーサン・ホークさんの姿は必見。
内面で色んな複雑な混乱が起きてて、勝手に完結して、社会へ攻撃を始めようと考えてしまう思考の怖さが丹念に描かれる本作。
しかも環境破壊や生き方の多様化、宗教という価値観など現代的なテーマも意識してて、さすがのしっかり者。
とにかく何が何でも傑作でした。
ラストがこれまたポール・シュレイダーさんの心境の変化なんかが感じられてよかった。
人にはやっぱ良好で、健全な社会的な関係が必要なのだ。
精神の安定には必然。
『白い刻印』『救命士』『タクシー・ドライバー』なんかで同じような話を書いてきたポール・シュレイダー様様ですが、最新作にして最高傑作としか思えないのが壮大な精神の冒険劇である『魂のゆくえ』になってた。
みんな大好きなアマンダ・セイフライドさんも出てるよ!
オレはもちろんプライムビデオで観ました。
まだ観れるといいね。