『ファング一家の奇想天外な秘密』『去年の冬、きみと別れ』

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『ファング一家の奇想天外な秘密』

役者がみんなよかった。

やりすぎな悪趣味ドッキリ仕掛けて現場にカオスを起こして去っていく芸風で世間で話題になってた芸術家夫婦の元で育ったせいで問題抱えて大人になった姉弟が主役。

親の保護下の子供時代はわけもわからず純粋に面白がって参加してたけど、常識と良識の備わって成長した今となっては悪夢でしかないというねw

ある日、久しぶりに再会した直後に血痕残して「行方不明」になった両親だが、姉は「どーせまた「作品」なんでしょ」って疑ってるわけで、嫌がる弟と一緒に意地でも探し出そうとする話。

家族がコミュにケーション不全でぶっ壊れてて、もうどうしようもない状態になってて、なかなか切ない。

めちゃくちゃな理屈で頑なにゆがんだ価値観を貫き通す親父クリストファー・ウォーケンがアートなのかどうなのか分からないハタ迷惑な作品のために子供を振り回す奇人変人ぶり。

親も狂ってるが、そんな親に育てられたニコール・キッドマンも実は相当危険だったりするw

親が常軌を逸してちゃんとしてなさすぎたおかげで、姉と弟が強固な絆で手を取り合って生きていこうとするので救いはあった。

こんな変な家族の姿はなかなかお目にかかれないので、面白かった。

ウソだろって思うようなありえない家族だが、役者のおかげで不思議な説得力があったw

『去年の冬、きみと別れ』

面白かった。

猟奇殺人といえるかどうかわからないがw、盲目女性の監禁焼死事件の容疑者である怪しげなカメラマンに密着取材する本の出版を夢見る新鋭ライターが、調べを深めていくうちに自分自身もズブズブ巻き込まれていったら、観ている方もいつの間にかこの映画って何やってんのか分からなくなってしまう話。

前半で人間関係やらでひたすら違和感バリバリ感じさせまくる構成にしてて、中期点である決定的な事件が起きた後の「本」が完成してからが、分からなかった色んなことが分かる仕組みになってました。

後半は「実はこうだったんです」って、一方的にトリックの内容を聞かされているだけに過ぎないが、「あぁ、そうだったのか」って驚きました。

謎への答えが「本」仕立てになってて、みんなを翻弄してた作者によるチャプターの朗読を拝聴ですw

これがなんか長くて、クドいし、途中で興味を失いかけたw

納得するしかないので、最後まで付き合いましたけどねw

説明に頼りすぎてて、一個もサスペンスシーンもないし、ミステリーとしてのカタルシスも小さい。

要するに遠回しで、都合が良すぎるぐらいな復讐劇だったんだけど、やっぱその犯人というか張本人さんがアホなのかノロマなのか天才なのか分からない混乱した人物なので、こちらとしても応援していいのか笑い者にしていいのか困惑し、どーも締まりが悪かったw

役者では北村一輝はさすがだった。
全体的なキャストはちょっと弱くて迫力不足で物足りないが、斎藤工の軽薄なうさん臭さとかをうまく利用した展開は悪くはなかったです。

題材的にもっと惨くて、血なまぐさい表現に力を入れても良かった気がするが、そこはやっぱユルいかな。

面白い話ではあったので楽しめると思います。

ただ、凄く説明的な映画。
なんつーか、「綺麗」なミステリー。

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