『ケイト』
なんでしょうね。
前半はそこそこ面白かったです。
東京っぽいようなそうじゃないような、何やらブレードランナーさんが夜な夜な活躍してそうな雰囲気の未来都市風の都会の裏路地とかで、アクション女優としての活躍目覚ましいメアリー・エリザベス・ウィンステッドさんがヤクザ相手に殺意満々の人殺しに精を出します。
カメラも派手に暴れてて、この調子で最後までよろしく頼んますって思うんだけど、話が話なのでやっぱりそうはなりません。
毒盛られ体調悪化の一途をたどり、死ぬ運命の暗殺者が主役なので、どんどん弱くなりますw
だから後半はほぼアクションもなくなります。
メアリーさんがうんざりしながらの典型的精神年齢低すぎるアジア人のうるさいガキの子守りしだしてからは話もチンタラしてて、演出も切れが悪くモッサリ。
MIYABIさんがちょっと気を吐いてみるだけで、後は國村準がムダに目立ってくるだけw
浅野忠信はただのアホの役というねw
しらけるほど想像通りの芸のないストーリーの退屈さに加えてウディ・ハレルソンの肩透かし感が残念で仕方ない。
つまり、尻すぼみ映画。
デヴィッド・リーチさんが製作にかかわっているそうですが、監督だったら違ったのになぁと思いました。
『アーミー・オブ・ザ・デッド』
バカみたいで最高でした。
オープニングがすでにクライマックスというのがウケましたw
で、本編がおまけw
ゾンビに占拠されたラスベガスで、大金眠ってるホテルの地下の難関デカ金庫に強奪しにいくクセの強いキチガイの傭兵集団の話。
途中から何やりたいのか分からなくなるテキトーな話で、意味不明などう考えても失敗する作戦が遂行されてるというめちゃくちゃさw
ゾンビでありながら、なんか違う化け物を見せられたような騙され気分にもなるザック・スナイダーがノリで作ってみた作品だと確信してますw
もはやゾンビなのかどうかさえ怪しいゾンビ王国の王様的存在のゾンビというか鉄仮面のアダム・チャップリンがスゲー怒ってました。
デイブ・バウティスタさんが確執持ちの娘との関係性とかあまりにもどうでもよすぎるんだけど、大体この手の映画では主役の娘ってのは余計なことしかしないので、例にもれず役割を果たしてましたw
どっかの生きてるのか死んでるのかもしれないゾンビ王国に連れていかれた赤の他人のために、父親と仲間の大切な仕事を台無しにするという愚行で邪魔な存在すぎて、一番生き残ってほしくないのに案の定生き残ってしまうのがおかしくておかしくてw
いやー、結局何のための作戦だったのかまるで分からない映画ですごく面白かったw
クランベリーズのゾンビがこれみよがしに流れだした瞬間、あー、すべてはこのためだけに2時間半あったんだなと変に納得w
誰かがやるとは思ってたけど、まさかザック・スナイダーがやるとはなぁとクスクスが止まりませんでしたw
狙いすぎだもん、クランベリーズのゾンビのチョイスw
『タルーラ 彼女たちの事情』
バンで寝泊まり生活する世捨て人なホームレス寸前というかほぼホームレスなタルーラさんが、たまたま出会ったシングルマザーがネグレクト状態なので、本能的に赤ちゃん保護してしまったら、もちろん愛着沸いてしまい、自分の子供ですって嘘ついて行方不明中の彼氏の母親に助けを求めちゃったということで、切羽詰まって行き、にっちもさっちもいかなくなってしまう話。
タルーラさん、赤ちゃんの母親、彼氏の母親。
みんなの気持ちが分かりすぎてとっても切なくなる映画。
作り手の実際の体験談から着想を得た作品ということで、キャラクターの心情や置かれている状況にリアリティを感じさせる深みのある作品になってます。
シリアスでいて、ユーモアのセンスも高い。
ありがちな安い感傷にも陥らず、冷静な見つめがあり、情感も深いドラマ。
よく考え抜かれて作られた話とキャラクター。
エレン・ペイジとアリソン・ジャネイの文句なしの素晴らしい演技が作品を傑作にしてます。
誰もが共感できる感動作。
そもそも赤ちゃんが出てきた瞬間から神がかり的に可愛すぎですぜw
『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』
めちゃくちゃよかった。
アメリカン・ドリームな幸福や社会的成功とは無縁の何一つ夢も希望も絶滅死したかのようなアメリカ南部の田舎貧乏白人村社会で暮らす一家の愛と呪いと絆の姿。
薬物中毒に苦しむ自暴自棄の母親と強く、たくましく、決して弱音を吐かない祖母。
そんな影響力の大きな二人の存在を見ながら、ナレーション担当もする主人公は子供時代を過ごしたわけです。
貧しく、恵まれない家庭環境にもめげず一家随一の優秀頭脳で頑張ってのイエール大学進学から仕事での成功へと向かっていた矢先、母親の薬物過剰摂取ぶっ倒れニュースが舞い込むという災厄。
逃れられない家族という愛憎の呪縛があり、人生の大事な転換期において自分が何者なのか知るために今一度、向き合うことになって思い返される家族への思い、ふるさとへの郷愁。
ロン・ハワードさんはやっぱアメリカ映画の心であり、最後の砦ですね。
役者の圧倒的演技と心揺さぶるストーリーで素晴らしい家族の葛藤のドラマ。
実話だったんだというまさかの事実が、エンディングの実在キャラクターの映像登場で初めて知って深く感動。
作り込みが完璧なグレン・クローズさん演じるおばあちゃんが本人とほぼ一緒で驚愕w
娘を幸せにできなかった罪悪感に苦しみながらも厳しくも、あふれんばかりの愛情で、未来ある孫を誇りある真っ当な道へと導こうとする命がけの覚悟。
言葉を失うほどの凄みのグレン・クローズさん。
エイミー・アダムスさんはほとんど『タービュランス』とかやってた時の危険な目のレイ・リオッタ状態でこれまた迫力満点だった。
鬼の形相と悪態で息子を追い掛け回すシーンの恐怖はホラー映画に匹敵する所業。
誰もコントロールできない制御不能で予測不能な精神状態の危うさ。
報われない人生に対する無力感や絶望を感じさせて素晴らしい演技の連続だった。
弟思いで、かげながら家族を支える姉のヘイリー・ベネットさんは『クリスティ』の時はただただ可愛かったけど、最近ちょっと太ってきたおかげでやたらとセクシーでもっと好きになったw
ロン・ハワードさんが原作への気持ちたっぷりに注いだことがまざまざと読み取れる作りで、どうあがいても傑作でしたねこれは。
『ハン・ソロ』『ミッシング』『エドtv』のように過小評価されてるロン・ハワード作品の中でも最も歴史的に評価されるべきネトフリ万歳映画。
つまり、ほとんど『ビューティフル・マインド』や『ラッシュ』レベルで堂々と絶賛すべきなのが明白。
評論家はクソほどにも何もわかってないので、この映画けなしたヤツは全員二度と映画を評論するなってことですw
ヒルビリー・エレジー、最高でした。