観てしまいました。
話題の『アナイアレイション 全滅領域』。
凄い映画です。
全部凄い。
いろいろと衝撃作すぎて、映画館の大画面で観てたら卒倒してたに違いないです。
どっかから飛んできた謎の光が謎の空間を作り出し、その領域に女性だけで構成された調査隊が送り込まれるという話。
なんで女性だけなのかって気になるところなのに、特に説明も無く素通りされるんですが、それが妙に気持ち悪くもありますw
この領域はエリアXと呼ばれてるんだけど、これまた常識破壊で、常識外れなブットんだ現象が発生しまくってる危険地帯で、そのブットび具合は「超常現象」と呼ぶにはあまりにも陳腐。
どこまでも意味不明かつ理解不能で、もはや話にならない理不尽極まりない異世界なのだ。
「目が点になるとはまさにこのことか!」なんてガッテン!してる場合じゃないのでしたw
本作はSFと言ったらまぁそうなんですが、単純にSFと言いたくないというか、何か超越感が凄いです。
実際はSFなんていう生易しい理解じゃ済まされないかもしれません。
SFの形を借りながら、その上に行き、またその斜め上を行くと言ったらいいのかなw
エリアXという存在自体が、人間の作り上げてきた歴史や思想そのものへのテロリズムと言っても過言ではないし、
それまでの科学の常識なんてもはやジョークでしかない。
エリアXで蠢くクリーチャーやグロテスクな植物の数々がそれを裏づけ、人間はあらゆる意味でもう人間でいられないという究極の終末が待つ。
結局、飛んできた光は何だったのか?
自然に考えると「宇宙人による侵略」なんだろうけど、そんな安っぽい話ではなく、「偉大なる何か」の計画が実行されましたという結論しか残されていないw
その視点で考えると、この映画はとっても分かりやすい。
劇中で「自殺と自己破壊は違う」みたいな台詞が意味深に語られ、登場人物も後悔や薬物中毒、自傷行為の過去に悩まされているという設定がなされている。
「偉大なる何か」は、自己破壊の「欠陥」を持たない新しい生命による新しい世界を作ろうと考えたのではないか。
あらゆる生命も科学も思想もプログラミングの時点で改められ、作り変えられ、生まれかわるという壮大なプロジェクト。
アナイアレイションとは殲滅や破壊を意味する。
人間社会が終わった後、まったく違う世界が作られるのかもしれない。
すべてを超越した「意志」によって。
いやー、アレックス・ガーランドさんは天才すぎる。
『エクス・マキナ』から娯楽性の充実と共に哲学性も深まり、一見美しいビジュアルデザインには監督の悪趣味で暴力的な思想が見え隠れしている。
『アナイアレイション 全滅領域』は、直接的な怪異や残虐表現はもちろん作り手の精神が圧巻の作品力。
何よりも身の毛もよだつクソ怖いSFスリラーだった。