プライムオリジナル 『ヴァスト・オブ・ナイト』『7500』

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『ヴァスト・オブ・ナイト』

スゲー地味ながら、なんか面白かった。

なんでしょうね。この具体的に何が起きてるわけでもないのに、何かが起こってるに違いない空気感だけはやたらとガンガン伝わってくるのだw

なんかヤバいことが起こってたし、それが目に見えないからからこそ怖がりのオレなんかはいとも簡単に余計にパニックにさせられて、作り手の腕の見せ所がハンパない。

1950年代のニューメキシコのどっかの田舎町で地元の人気DJと電話交換手の少女が、無線から得体のしれない「音」を拾ってしまったことから、その正体を協力して追い求める一晩の話。

要するに超常現象ですねw

大昔から映画の題材として幾度となく、ピンからキリまで、腐るほど作られてきた「いつもの話」なんだけど、お金かけられないなりに演出面と演技面で相当頑張って工夫して作ってました。

『トワイライト・ゾーン』とか『アウターリミッツ』とかの古き良き怪談番組のあの感じ。

あの内側の物語にようこそと招待してくれるのがコレ。

スピもJJもやってきた定番のヤツ。

だけど、同じようなマネできるほど予算らってないし、実績もないわけですからね。

ならば用意できる道具と技巧利用して、自分なりのやり方で『未知との遭遇』を作るかって話です。

冒頭からクセが凄い。

ちょっと対象から数歩引いた場所からによるストーキングのような長回し撮影で、主役の二人がとりあえずメチャクチャに会話する様子を舐めるようなカメラワークで追い続ける。

もうメッチャしゃべりあってて、この冒頭だけでこいつらのキャラが的確に表現されているのが素晴らしかった。

カメラワークが実はなんか洗練の塊って感じだったな。

これぞ映画の未来を担う才能の証を見せられたかもしれんw

狭い密室においてはほぼ動かず、そこで展開する無線の先の相手との緊迫なやりとりを撮り続ける不動のカメラ。

一転して、一歩外に飛び出てからまるで生き物のごとく自由を求めるかのように縦横無尽に巡るのだ。

どうやってそんなシーン撮影したのかって驚異のショットもあったりして、このロマンな夜の物語と相まって感動が深い。

一晩の話でありながら、このワクワク感。

不可解な「音」をたまたま聞いちゃったがために、次々と不可解を呼ぶ不思議すぎる夜。

DJは皮肉たっぷりに状況をクールにとらえながら、交換手の少女は胸躍らせながらひたすら走るのだ。

まるで闇の力が働いているかのような「夜」という世界特有の不気味や怪しさを演出し、宇宙の未知の御心の偉大さを肌にゾクゾク感じさせてくれた。

何かが起こっていると最後まで思わせてくれて、そして、あのラスト。

最高でした。

主役の二人の見事な演技と精彩を放つカメラの魔力で、小粒だが映画愛と才気の確かなエンタメ作品に仕上がっていた。

たぐいまれなる奇才かもしれん。

すんごいですよこの監督。

誰だか知らないけど、たぶん注目すべき逸材なんでしょうね。

そのうち大作に抜擢されるかもです。

配信で観れたのは幸福でした。

ヒマがあればぜひ!

『7500』

飛行機がイスラム過激派の自爆テロ犯にハイジャックされる話です。

だけど、オレが大好きな『エグゼクティブ・デシジョン』にも、ましてや『エアフォース・ワン』にもならないタイプw

これまたメチャクチャに地味で仕方なかったですw

地味にも程があるんだけど、見応えありました。

音楽を一切排して、ほぼドキュメントのようなスタイルを通し、だからこその「当事者」感覚に遭遇させてくれるのだ。

プライム・オリジナルは地味だけど、抜かりない確かな作品多いよねw

これはもう主演のジョゼフ・ゴードン・レヴィット君のおかげですわ。

この人のおかげw

演技力あるんですね、やっぱこの人。

500日のサマーにフラれた人ってイメージしかないのに、ほとんど独壇場という下手な役者には任されない仕事なわけで、こんなに立派な俳優に成長してて感慨深かったw

この映画、ほぼコックピットの狭苦しい部屋でのみ展開する密室劇なのに、なんか不思議とスケール感じましたw

狭いながらもカメラは器用に立ち回り、そこで起こるドラマを見逃さないのだ。

日常の平和な通常勤務の風景が、アラーの偉大な人たちの登場によって一瞬で頭真っ白な地獄へと様変わりする場面は恐怖の一言。

レヴィット君の心こもった演技がさらに感情移入とリアリティを高めていくわけで、映画として完成されていた。

テロが起こるまでの素朴な愛すべき普通人らしさ、テロが起こってからのケガしながらの必死な抵抗、ハイジャックという状況への副機長としての対応の様子、苦渋の決断と高ぶる感情、同じ人間であるテロリストへの憐み。

レヴィット君の迫真な演じっぷりに、ついつい引き込まれました。

一枚のドアを介して人質を取ったテロリストが向こう側で何をしでかすか分からない興奮状態なのに、レヴィット君は責任と恐怖にさらされ、後悔と絶望を背負いながら、だけど乗客のためにも冷静さを失ってはならないのだ。

死ぬ覚悟のテロリストがコックピットの向こう側でめっちゃ怒ってて、交際相手を含めた人質の運命も握らされ、そんな危険すぎる相手とのやりとりが切迫感バリバリ出してました。

唯一死にたくない気持ちになったテロリストと心通じるレヴィット君。

もはや誰もが死にたくないわけで、それなのに誰も望んでない悲劇が起こってしまったという哀しみを空しく残し、映画は幕を閉じた。

この映画は素晴らしさかったです。

『ヴァスト・オブ・ナイト』もそうだけど、地味であるがゆえの手法が功を奏してました。

レヴィット君の役者としての底力が際立ち、まんまと感動させられてましたw

凄く面白かった。

そこのアナタもプライム加入しましょうマジでw

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