低予算映画だけど、有望な若手監督によるエネルギッシュなジャンル映画ですね。
アクションエンタメとしてはまだまだ未熟さはあるが、若いからこその勢いと覇気が感じられて良かったです。
大満足とはいかないけど、伸びしろ期待できるなって感じです。
話は令和時代をサバイバルするための「ヤクザもつらいよ」的な内部抗争なんでしょうか?
育ての親であるヤクザのボスの実の娘の通学先の学校に、見守り係として潜入してる主人公の「ある用務員」さんと敵対するヤクザが送り込んでくる殺し屋たちとの殺し合いです。
全体的に台詞の声量が小さすぎてメチャクチャ聞こえづらくて、しかもラッパーの般若の役がヤク中だしアホだし知恵遅れでありながら、だいぶしゃべる量が多いにも関わらずコイツが一番何言ってんのか分からないから話の流れが掴みづらいという不親切寸法で減点。
ストーリー的にも、主役の用務員さんがどんな心情で、女の子を命がけで守る理由があるのかなって正直ピンとこなかったですね。このストーリーだと、どうしても理解しにくいというか。
だから、後半につれてアクションが激しくなっても、鑑賞者はちょっと冷め気味で対応してしまうのだw
主役の用務員さんと守られる側のヤクザのボスの女の子が人間的な魅力ゼロなので、応援したいモチベーションがまるで湧かないのも困りました。
時々物凄く演技がクサくて、見ているのが苦痛になるレベルなのも気になった。
銃撃戦での特殊効果はちょっと嘘くささがあってこれまた気になる場合があるが、アクションシーンでのカメラは優秀。
日本映画にも現代的なハードアクションが撮れる才能ある若手監督が出てきましたよという意味で映画好きとしては嬉しさはありますね。
いまのところ『ザ・ファブル』はお笑いだし、『ろろうに剣心』は時代劇なので、もっとR18な過激で暴力的な作風のアクションジャンルを確立する余地が残っていますから。
ヤクザ映画のような展開から、人気のない学校でのドンドカ送り込まれる雇われ殺し屋たちとの殺し合いになだれ込んでからは素直なアクション映画になってます。
特に二人組の女の子との図書室での立ち回りは秀逸。
どこぞの優秀なアクション女優が発掘されて出てきたのかなって感心してたけど、伊澤彩織さんって人は本業がスタントウーマンなんだって知って納得。
この映画への肯定的評価って、ほぼ伊澤彩織さんの素晴らしいアクションに対してですねw
未見の『ベイビーわるきゅーれ』と同じ役ってことは、時系列としては『ある用務員』が後ってことなんですねw
相棒の高石さんが天真爛漫すぎて苦労してましたw
ユルいユーモアとアクションスリラーとしての緊張感はバランスよかった気がしました。
なんならコメディ要素一切排除して、アクションではもっと生々しい表現が欲しいところ。
退屈なキャラクターと心に刺さらないストーリーではあったけど、アクション映画のセンスは間違いないですね。
そのセンスを爆発させるためには、この監督にはもっと丁寧で感情移入のできる上質な本とデビッド・リーチ映画に近いぐらいの予算がまずは必要ってことで、手っ取り早くハリウッド映画に呼ばれてくださいw
本人は嫌かもしれないがw