『すべてが変わった日』
60年代、モンタナ牧場で穏やか一家生活だったのに、家族の死をきっかけに暗雲立ち込めてしまいます。
人生も後半にさしかかった中高年の夫婦が家族を失うけども、残された家族を救うために立ち上がる話です。
落馬事故で死んじまった最愛の息子のカミサンである義理の娘の再婚夫がとんでもないDV野郎で、ある日勝手にノースダコタのクソ奥深いどえらいド田舎実家に、家族ともども強引に連れて帰っちゃうという暴挙。
さらわれた嫁と孫息子を取り戻しに行く中高年夫婦の渋いドラマと復讐劇。
過ぎ去ってしまい、もう取り戻せない過去の記憶と失った息子の思い出への郷愁。
老いていき、もう若くないんだと自覚する夫婦の姿の哀愁がなんだか染みるし、長く一緒に生きてきた男女の間に築かれた強固で、深い愛情をケビン・コスナーとダイアン・レインというマン・オブ・スティールな二人が確かな演技で表現。
DV夫の実家に近づいていくにしたがって不穏な空気漂い出すのが後半。
到着した実家で、待ってましたとばかりに不味そうな田舎料理作って待ち受けるおばあちゃんがやっぱり異様だし、閉鎖的な田舎社会というグロテスクの具現化。
おばあちゃんが仕切る野蛮な家族が『悪魔のいけにえ』や『ウィンターズ・ボーン』かと思うような常識も理屈も通用しないおかしな人たちで困ってましたw
全体的にちょっと地味だったが、スーパーマン育てた主演二人の味わい深い演技を嗜むにはちょうどいいかもしれない。
イカれた暴力息子たち従える恐怖政治の支配者のおばあちゃんが、無慈悲な悪魔でなかなかおっかなかった。
あのおばあちゃん役のおばあちゃんは名優。
『モンタナの目撃者』
またしてもモンタナです。
結構面白かった。
それなりにスリリングなストーリーと緊張感あるアクションシーンがあって楽しめました。
何やら国家を揺るがす知っちゃいけない重大な秘密を知ってしまった少年と子供を救えなかった過去で深刻なトラウマを負う森林消防隊員が出会い、少年を狙う冷酷な暗殺者が仕掛ける山火事攻撃と執拗な襲撃の魔の手が迫りくる状況で信頼し合い、協力しあって生き残るために戦う話。
アンジョリさんが久しぶりのちゃんとした人間の役での主演w
だけど、どう考えてもエターナルズの方が世界観にアンジョリさんの神々しいビジュアルがハマっていたけどw
男勝りの性格と豪快なスタントで頼もしかったが、あまりに普通の映画の普通のアンジョリさんだったなぁという印象でした。
アクションパフォーマンスという観点なら『ウォンテッド』や『ソルト』の方が映え映えしかったしねw
アンジョリさんはなんか総合的に地味な主演。背景の過去のトラウマも浅い描写なのでキャラクターが弱い。
対する子役の方がだいぶ本気な気持ちこもったいい演技見せてくれたなと思う。
追っ手の暗殺者たちが最初はクールな手際で恐ろしさが演出されていて良かったが、後半はマヌケな判断が目立ちだして自滅してしまうのがあっけなくて残念。
思いのほか良かったのが、テイラー・シェリダンお気に入りとして『ウインド・リバー』から引き続き登場のジョン・バーンサルAKAパニッシャーじゃなくて、そのパニッシャーのカミサン役がパニッシャー本人よりパニッシャーしてて意外な活躍してたというねw
あのカミサン役、すぐ殺されると思ってたからw
パニッシャーなはずのジョン・バーンサルさんはやっぱり切ない役。
山火事映画なら容赦ない悲劇の実話『オンリー・ザ・ブレイブ』観ればいいし、テイラー・シェリダンなら『ウインド・リバー』だけ観ておけばオッケーかなって思います。
正直なところねw
強烈で凄絶で恐ろしいスリラーの傑作だった『ウインド・リバー』に対すると出来は平凡だし、印象も薄いが、テイラー・シェリダンならではの高度なサスペンス演出とアメリカ的な西部の広大な土地という舞台設定を活かした個性が発揮された作品。
そんなわけで、テイラー・シェリダンは何はともあれ才能あるんだなってことが再び証明された上質なアクションスリラーでした。