『プロミシング・ヤング・ウーマン』

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昼間は平凡なカフェ店員にして、実は夜な夜な泥酔装ってはお持ち帰り男を退治してたりする大学法学部を突如中退というワケあり経歴を持つ謎めいた才女。

ミステリアスでいて、どこか危うく、かつては「有望な若い女性」だった彼女の行動の真意とはなんぞや?

これは単純に相当面白かった。

だけど、映画自体は単純じゃないんですよねw
復讐映画の体だが、そーとー芸があって、頭も切れていた。

誰もが想定してないタイプのこれまでにない復讐劇だったな。
ただならぬ野心を感じる意欲作。

確かに有能な女性監督の感性だからこその視点や鮮やかな演出で、観る側の胸をゾクゾクさせまくる斬新な復讐スリラーですこれは。
フレッシュでシャキシャキしてました。

この前みた『REVENGE リベンジ』が「結局、アホ女が悪いってこといいですねー」って意地悪な気持ちにしかならなかったんだけど、『プロミシング・ヤング・ウーマン』は加害者に暴力で成敗、罰を与えるって発想よりも先に進歩していて、今後のこのジャンルの作品作りに影響与える聖なる力、作品力が十分備わっている傑作ですわ。

復讐エンタメとして成り立たせながらも、性暴力自体のおぞましさ、卑劣さのみならずその背後に見え隠れする男性優位社会の都合の良さ、女性を社会的に軽視するように働く価値観などの問題に対して切れ味鋭く物申していて、社会全体がグルになって被害者を心理的暴力でさらに傷つけて、被害自体をなかったことにしてしまえという世の中の矛盾や闇について真剣に考えさせようと推進する脚本が頭良くて、作品のテーマそのものを主人公の積年の恨み節ハンパない復讐劇というストーリーで表現しているのも見事だ。

性犯罪に加担する男性だけじゃなくて、見て見ぬふりして善良ぶる諦観者や男性社会にすりよって、媚びるいけすかない女性の存在にも山ほど言いたいことがあるようなのだw

何やら不穏な始まりとなり、主人公の触れちゃならない過去と閉ざされた心に封じ込めた思いが明かされていくことで張り詰めテンションでサスペンスな様相呈していくが、一転してキラキラしたロマンスでほっこりさせてからの、分かってはいたけど嫌な予感しかしない地獄展開への転落で、残酷なのに不思議なカタルシスな決着へと向かうこの断然魅力しかない本作。

色んなショッキングなことが明るみに出まくり、感情が目まぐるしく動きだして、この先どう展開するのか読めないわけで、その意味でも鑑賞者をひたすら楽しませる手腕が素晴らしかった。

主演キャリー・マリガンが最高。
キャリー・マリガンといえばもうこの映画って感じですね。
それぐらいの自由自在で、絶妙な加減で少女のように可愛くも、精神不安定で弱弱しくも、地獄の底からやってきた悪魔にも見える変幻自在な圧倒的演技。

彼女にとって間違いなく代表作になったと思う。

『プロミシング・ヤング・ウーマン』は映画として価値のある時間を約束してくれる。

挑発的にして、予測不能で、洞察に富み、直接的な暴力シーンほぼなしでも精神にド派手に致命的一発食らわされて再起不能にさせるほどの刺激的な傑作だ。

見るべき。
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