凄く面白い。
主人公がスナイパーだし、勝手に『アメリカン・スナイパー』に近いような話を想像してた。
実際はジャンル映画に近いです。
イラク戦争で実在したと言われる暗殺者をモデルにしたシチュエーション・スリラー。
壁一枚を隔てたスナイパーとスナイパーの攻防が、限られた制約の中、緊迫感満点で展開。
ほぼ、相手のスナイパーとの無線による会話劇によって進行するんだけど、敵がどこに潜んでいるか分からないので常に油断禁物。
基本的に同じ画が続くのに、決して退屈に陥らないのも上手な作り方。
たとえば、ジョン・シナさんの存在とかw
この映画のジョン・シナさんの役割が見事。
頭が凄くいい使われ方で、ジョン・シナさんがいつ「昼寝」から目を覚ますかでハラハラが持続するのだ。
地味でシンプルな設定だが、状況が圧倒的にスリリングだし、無線のやりとりにもちゃーんとサスペンスな工夫がされている。
終わり方も秀逸すぎ。
てっきり丸く収まるハリウッド的な解決を想定していたので、本当にゾッとした。
震撼のラスト。
救いゼロのエンディングには感動。
話の絶望性が際立って素晴らしかったし、「死神」の視点を感じて鳥肌モノの怖さ。
作り手の心意気というか、媚びない姿勢は評価高い。
死ぬほどダサかったシュマッチャーの『フォーン・ブース』なんかとは違うわけですw
監督はダグ・リーマン。
最近、トムクルと一緒に作った2作品がやたらと大傑作だった人。
この人は、実は相当クールな職人なんじゃないかって思ってます。
ただのそこそこ面白いアクション映画をぼんやりと作ってる人ってナメていたかもしれないので反省w
ここ数年は凄く気を吐いているし、いきなり大化けしそうな緊張感もある。
作るジャンルも読み難くなってきてるので、驚かせてくれそうな監督の一人。
『ザ・ウォール』なんかは無難なスリラーに落ち着きそうで、実質は狡知に長けていた。
ダグ・リーマンには期待しちゃう。