出たw
マジで。
映画という価値観において、これ以上の映画って今年はないと思いますね。
映画すぎるほど映画。
映画だからこそ表現できる最も映画らしい映画。
その意味で、映画を信じ、理解している人にしか作り出せない。
それが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
そんな人って映画的に偉大すぎの神様。
AKAクエンティン・タランティーノ。
タランティーノがすこぶるゴキゲンにブチかましたこの最新作は、あらゆる映画ファンにとって幸福そのものだ。
正直、ストーリーらしいモノはないです。
それでも始まった瞬間からとにかく幸せ。
エンディングまで至福の時間が流れて、鑑賞後も「まだ終わってほしくない」と本気で思わせてくれる。
タランティーノがどんだけ映画を愛し、ハリウッドを愛しているのかがスゲー熱いのに、同時にクールに、かつ芸術的に表現されている。
これまでのキャリアの集大成と言ってもいい最高級エンタメ。
出演しているあらゆる役者が心の底から楽しみながら演じてて、だからこっちもワクワクしっぱなし。
目の前に映っているモノすべてに心躍り、胸高ぶる。
とにかくね、最高w
映画が描くのは60年代終盤のハリウッドです。
60年代も終わりに近づき、テレビから映画へとメインストリームが移り変わるハリウッドの切実な内幕とハリウッドの歴史に重く、苦い暗黒の思い出をもたらしたカルト教団マンソン・ファミリーの忌まわしい存在。
普通の神経の常識人が作ったら、マジメで、リアルな実録ドラマになりそうですが、そこはなんつってもタランティーノなわけです。
歴史何ぞ知ったことかとばかりにナチが惨殺される『イングロリアス・バスターズ』や絶望的な惨劇を着実に予感させながらも、不穏な状況が一瞬で逆転してしまう『デス・プルーフ』の時のような「映画的奇跡」がまたしても起こるわけですw
その痛快さと言ったらね、マジで神w
タランティーノは相変わらずブレてないw
主演3人のスーパースターがそんなタランティーノの期待に応えまくる。
デカプーによる十八番とも言える情緒不安定にキレまくるハイテンション芸も新たなステージを迎え、ブラピはひたすら飄々と佇みながら、実はそーとーヤバい変態キャラを嬉々として演じ切る。
ひたすら腰を振り続けるマーゴット・ロビーの無邪気で、可愛い存在は、悲惨な史実なんかには壊されず、「ハリウッドの夢」としてちゃんと映画の中で生き続ける辺りなんて泣けますよホント。
つまり、タランティーノにとって元となる事実がああだこうだなんぞ知らねーわけです。
実際の出来事なんていちいち気にしてられねーだろと。
細かいことなんてどうでもええやんとw
そんなことより重要なのは、純粋にエンタメかどうか。
デタラメであろうが、楽しければオッケーというのが基本理念。
問答無用のエンタメとして提出してくるその映画人としての姿勢。
これほど正しい映画観はないわけです。
映画の圧倒的ファンタジーが厳しく、残酷な現実をねじ伏せて、超越してくるみたいなね。
それが映画の力。
タランティーノこそ、その力を最も信じている最強の映画クリエイターなのだ。
ハリウッドに必要なのは悪夢じゃない、夢なのだ。
夢物語。
だから、ご覧なさい。
タイトルの時点でちゃーんとメッセージが込められている。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。
タランティーノ流の至極の夢と魔法のファンタジー。
超絶大傑作。
絶対に観ること!