これぞスタローンの真骨頂というような、まぎれもないスタローン礼賛映画でした。
貧困と犯罪で廃れた街グラニットシティでは、超人な双子である善きサマリア人たる正義のサマリタンと復讐心に囚われた悪のネメシスが対立していたが、ある発電所での爆発事件を最後に二人は消息を絶つ。
ナレーションとアニメーションで紹介されるサマリタン失踪のドラマティックなプロローグが良すぎてワクワクw
25年後、死んだと思われているサマリタンはどこかで生きていると信じて疑わないサマリタンに憧れまくるサマリタン大好き少年が、チンピラ集団にボコられているところを近所の団地に暮らすゴミ収集人である我らがスタローンに助けられ、その高齢者とは思えない怪力を目の当たりにしちゃったわけで、「こりゃ絶対にサマリタンに違いない!」と少年の激しい思い込みはすさまじく追及は止まらない。
目立った人助け行為が噂となり、街にカオスをもたらそうと目論むネメシス崇拝者の危険で極悪なサイラスなる犯罪組織にも命を狙われてしまい、作品はますますスタローン=サマリタンなんじゃないですかってゆー正体に迫っていく話になっている。
実は奥深いストーリーだし、単純な勧善懲悪ではないスーパーパワーを持った者の暗部を描き出していて凄く面白かった。
25年間ひっそりとまるで隠れるように一般人の中に溶け込んで生きてきたスタローン演じる「スーパーヒーロー」だが、サマリタンという正義を絶対的に信じる少年との交流で何かが変わっていく。
善と悪という真逆で極端なようでどちらも同じ心に存在し、その危うい関係性と社会や人間って頭で考えてるよりずっと面倒で複雑なんですよという真実があって、それって当たり前だが、スタローンによって言葉にされ、体現されることでその重みや説得力はまるで違うのだ。
『ロッキー』『ランボー』『エクスペンダブルズ』『暗殺者』『デイライト』での傷つき、哀しみを背負ったヒーロー像はいかにもスタローンらしいし、『コブラ』『デッドフォール』ではアクションヒーローの地位を確実に安定させ、『オーバー・ザ・トップ』では初心な少年に人生の何たるかを腕っぷし使って教育したし、SFアクションの分野では『デモリションマン』『ジャッジ・ドレッド』ですでに実績があるし、もちろん『刑事ジョー ママにお手上げ』までやり遂げたスタローンの経験値だからこその本作が熱い。
まさにスタローンはスーパーヒーローであり、スタローン映画はスーパーヒーロー映画だったのだと改めて思い知らされる。
引退した「スーパーヒーロー」の哀愁と貫禄の重厚アクションで震える『サマリタン』がマジでビシバシと心に刺さりまくる。
スタローンがもたらすいぶし銀の実力と年季の違うスーパーヒーロー映画になってました。
人生を変える出来事のショックから「スーパーヒーロー」を辞めた主人公が、自分を慕う少年の無垢な心と出会い、同時に導いていく中で、対峙すべき過去に立ち向かう姿。
少年のため、自分自身に決着をつけるため敵の拠点に単身殴り込みをかけるクライマックスのド迫力。スタローン無敵無双の圧倒的パワー全開で勝負になりませんw これは大興奮間違いなし。
スタローンがこの役を演じている時点でもう火傷は必至なレベルで激熱だし、クソエモいし、90年代から善も悪も単純だった時代のスタローン俺様映画を観てきたアラフォー映画ファンとしてはこのヒーローらしからぬヒーローの活躍は感慨深くもある。
スタローンだからこその成り立つカッコよさであり、ハンパなく心動かされる。
社会の片隅でもがき苦しむ弱者がギリギリな生活状況で日々を生きる絶望のストリートで、貧困の辛さから目先の生活費のために犯罪行為へと流されていく少年の姿もなんかリアルだったりして、不遇な環境でも自分次第で善に向かうか悪に堕ちるかが決まっていく。
少年を救うことで『サマリタン』になれるし、なろうとするスタローンにも重なるストーリーが本当に感動的。
控えめに言ってもこれは最高w
前提としてスタローンありきだが、それが『サマリタン』なんだから黙ってスタローンを拝みながら観ろ。