Netflixオリジナル映画 感想文まとめ④

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『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

勧善懲悪の荒くれ西部劇かと思いきやのそんな単純なエンタメじゃなかったし、繊細な心理描写中心の人間関係を描いてました。

でも、できる限り役者の演技と映像力で物語って、キャラクターの内面で変動する機微を伝える手法ですね。

『パワー・オブ・ザ・ドッグ』は、なんつっても『ピアノ・レッスン』のジェーン・カンピオンなのでマジで色々と読み取るのが困難だった。

何を意味するのか全部が高度過ぎるから。冷徹すぎる演出なので、集中力いりましたw

粗暴で、意地悪な荒くれ西部カーボーイな振る舞いの牧場主カンバーバッチさんのキャラクターが意外な顔を見せていくことでの緊迫感。

周囲の人間との間で生まれる感情のなんとも明確に捉えがたさ。

なかなか何が起こっているのか、どこへと向かっているのか全貌が読めないので不安で仕方ないんだけど、終わってから精神に来ますねこれはw

地味だが、静かに高まっていく狡知な心理サスペンス。

『時の面影』

拾い物のめちゃくちゃいい映画。

なんだかやたらといい話で、心和んだし、大号泣の大感動というよりもジワジワとジーンとしました。

そこら辺のさじ加減もイギリス映画の気品なんでしょうか?w

なんとなく勘を信じて所有地の塚掘ったら、超絶太古な遺物を大発見しちゃう金持ち未亡人と素人だけどプロ級の腕前を誇る雇われ採掘人の友情と知られざる偉業。

キャリー・マリガンが心臓疾患で余命わずかでありながらも断固として信念を曲げない強い心の地主を好演。

そんな思いに触発されて、頑固一徹に掘削に情熱かけるレイフ・ファインズが意地を見せるのだ。

過去は未来に繋がり、歴史を記憶する。

大昔な中世から自分が生きる現代、まだ見ぬ遠い未来まで時代を結ぶ時間という終わらない浪漫。

それが考古学の本質的面白さであり、人間の探求心という奥深さ。泣けました。

ネトフリらしくマニアックだけど、興味深い実話を基にした感動作『時の面影』。

第2次大戦の不穏な影が忍び寄る下でも希望を追い求めた人たちの力強い物語。

『スヘルデの戦い』

これまた実話物で、やっぱ面白い!w

なんでこんなに面白いモノホン話が世の中には溢れてるの?

まだまだ転がってそう。

ネトフリってなんでもかんでも手当たり次第に拾ってくるからねw

しかも、いちいち完成度も高いしw

英国人パイロット、ナチス抵抗運動に参加するオランダ人女性、ドイツ軍兵士という三者三様のドラマが同時に進行。

その哀しき運命が、クライマックスの最終決戦へ向けて絶妙に絡んでいくストーリーがスリリングに展開して面白かったのが『スヘルデの戦い』だったんです。

戦場中心の戦争映画というよりももはやスパイサスペンス映画のような緊張感で気が抜けないのだ。

こーゆースタイルで描かれる戦争物ってこれまでなかった気がしたし、なんか新しいタイプの映画発見したみたいな喜び。

戦争やってるわけなので、残酷なストーリーだし、もちろんショックシーンも満載なので安心してくださいw

ラストのやるせない切なさも余韻あった。

「これがスヘルデの戦いだったのか!」とオレは心で叫びましたw

ネトフリの実話物に外れなしだ!

『聖なる証』

いきなりの斬新すぎるスタートで唸る一本。

現場の撮影スタジオからの「物語」始まりますの出演者本人によるナレーション。

メタフィクションとして描かれる理由がちゃんと本作の映画的テーマにつながっているという重厚な作りで、ネトフリのやりたい放題な魅力がこれまた断然輝く作品になってた。

なっかなかの野心作よこれは。

4カ月連続断食という不思議少女を観察するために英国からアイルランドのある信心深い村へやってきた看護師を描く心理劇『聖なる証』。

これは本当の神の奇跡かはたまたトリックがあるのか?

少女が断食する本当の理由がショッキングに明かされてからが重要。

少女が信じる物語、周囲が信じる物語、看護師が信じる物語。

物語の内と外。映画と鑑賞者。

これはマジでなんだろ、ネトフリらしい強い個性が出てた。

簡素に設置された舞台で、無駄をなるべく排した演出とストーリー。

その分、鑑賞者へ向けられる問いの意味は大きいし、ラストでは迫力を増してくる。

オレには相当高尚すぎたが、フローレンス・ピューはいつアカデミー賞取ってもおかしくない化け物女優だってことは確信。

『浅草キッド』

圧倒的感動作。

めちゃくちゃ笑ったし、めちゃくちゃ泣いた!

劇団ひとりって芸人さんが作ったらしんですが、たぶんこの人はたけしさんのことをめちゃくちゃ尊敬してるんでしょうね。芸人はみんなそうでしょうけど、こんな映画作るぐらいだから相当なモン。

ビートたけしの聖なる誕生秘話であり、そんな天才たけしの師匠である深見千三郎さんへの心籠った感謝状でもある『浅草キッド』。

たけしによる自伝の映画化らしいんですが、作り手がワンワン泣きながら撮影したんじゃないかって推測できるような号泣必至さw

それぐらいの気持ちの大きさが籠ってた。

思い入れの深さが十分すぎるほど伝わる愛着心を感じさせる熱い演出、浅草フランス座で灯される淡い青春と痛快なサクセスストーリー。

そして、たけしの起源であるがゆえに、たけしの天才性を描き出すことは、そのたけしの素質を見抜いた師匠さんを描くことでもあるのだ。

歌手をあきらめて日銭を稼ぐストリッパー役の門脇麦や深見さんを支える懐大きいカミサン役の鈴木保奈美もめちゃくちゃいい助演。

あまりに泣けた。

夢を追う幸福と夢が破れる痛み。

芸人もトレンドも変わり行く時代の流れという進化は自然であり、同時にそれは残酷。

この物語。めちゃくちゃ良くて死にそうになった。めちゃくちゃ良い。最高すぎる。震える傑作。

去年観ていたら間違いなく2022年映画ベスト10入りは確実だった。

『浅草キッド』だよ、バカ野郎。

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