『イニシェリン島の精霊』『ナイトメア・アリー』

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『イニシェリン島の精霊』

なんとも言えない後味残す孤島のコミュニティでの絶交ドラマ『イニシェリン島の精霊』。

島モンではベスト作ですねw

島って最低ですマジで。すべてが悪です。島は。

島の何がいいん?

クソ不便だし、何もないし、誰もが誰もを知っている狭くて、逃れられない人間関係も呪いみたいで嫌すぎるw

そんな不快な閉鎖社会の低俗な島村なんかで都会に目を背けてコソコソと卑屈に暮らしていやがる島民族なんかはおおよそ俗悪だし、一部のまともな神経の人は手遅れになる前にとっとと脱出すべきなんだと思いました。

本土では派手にドッカンドッカンと元気に戦争真っ最中なアイルランドの離れ島イニシェリン島で、大人男二人が爆弾投下の大国合戦に負けないぐらいの陰湿で、険悪なムードで本気喧嘩する話。

ある日突然に「お前のことが嫌いになった」なんつって一方的に親友止めます宣言されて延々と困り顔の顔芸でオタオタしてウロウロする姿が驚異的に面白いコリン・ファレルを筆頭に役者がみんなヤバい。

下衆な島民にうんざりして悪態つきつつ、兄へは愛情深く、それでもなお自分の人生に前向いていく妹役のケリー・コンドンが一番達者に思われた。

マーティン・マクドナーってことなんで、これまたね、なんか一筋縄じゃ行かない、先の読めない人間模様が上手すぎてエンタメでした。

お得意の意地悪テイストで人間の複雑な心を見つめていくブラックコメディなんだけど、変人が多すぎるし、変な行動がありすぎて、どう展開するか分からずなんかめちゃくちゃサスペンスでもあったw

どことなくこの世の物とは思えない寓話性があって、クセもアクも強いキャラクターによる風変わりで奇妙な話でありながらも露になっていく胸にしまっていた心情。

他愛のないきっかけで関係性が決定的に変化してしまうことがあるし、二度と元に戻らないかもしれないわけで、その苦いリアルが描けていたのもなかなかのマクドナー節でした。

えげつない島民の醜悪な仲たがいの合間に、時々差し込まれるやたらと美しく撮られた島風景のビジュアルインパクトも皮肉なまでに鮮烈。

結局ムダな争いに付き合わされたような気もしたが、めちゃくちゃ変な映画で最高だった!

この作品力でアカデミー賞無冠はないわw

『ナイトメア・アリー』

『シェイプ・オブ・ウォーター』よりは好きですねw

体裁としては昔スタイルなノワールスリラーなんですが、やっぱり全部がゲボ吐きそうなほど気分悪くなるような悪趣味変態な人間嫌いの精神病映画になってて最高でした。

このいかがわしさこそギレルモ・デル・トロ。

ギレルモ・デル・トロの人間や社会への暗い見方がもうジュルジュルと膿み出てきているので見応え抜群。

クソ気持ちの悪い、おどろおどろしい嫌な話になっていて、何を隠そうどこまでもギレルモ・デル・トロでした。

陰惨な過去抱えてフラフラとたどり着いた先のカーニバル団で、人操りの危険な読心術習得した風来坊が、街の権力者の秘密握る心理学者と手を組んで、インチキ霊媒パフォーマンスで荒稼ぎする詐欺師となってのその顛末。

あまりに呪われた人生をノワール調で描く『ナイトメア・アリー』。

嘘つきまくる主人公もそうだが、したたかに利用してくる冷酷な心理学者もターゲットとなるサディストの金持ちの爺も人間として大切な何かが決定的に欠落したような最低の人物に描かれていて異様。

カーニバル団員のウィレム・デフォーはもちろんw

ストレートにヘルボーイやミミックのような臭そうな魔物を登場させることなくギレルモ・デル・トロらしい奇怪でグロテスクな作品になってて良かったです。

巡り巡っての不幸な運命のラストもちゃんと落ち込むので、作り手の精神が貫かれた正しい作品になってました。

軽率な判断で地獄に落ちていく因縁に迷い込み、目の前の成功のチャンスが崩壊して、暴力的に自滅していくブラッドリー・クーパーさんの悲惨なのに華麗に哀愁を演じ切っており、もはや『アメリカン・スナイパー』に並ぶ名演技だったと個人的には大評価してしまいました。

だけど、それでも、やっぱりケイト・ブランシェットの常軌を逸した魔界的怪しさがさらに超えてくるんだからゾッとします。

慄きますぜ!

ルーニー・マーラはただただ可愛いよ!w

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