『ウインド・リバー』

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見事な映画。
全然文句ないし、頭良すぎる。

ぜひ映画館で観たかった作品だったし、やっぱテイラー・シェリダンはいい本書いてるよね。

『最後の追跡』『ボーダーライン』に続いて脚本書いて、監督もやったのがこの『ウインド・リバー』っす。

この三つはほとんど兄弟姉妹みたいな関係だし、作品ごとにアメリカ社会の誰も知りたくないし、目を背けたい真っ暗闇に深く、深く潜って行く容赦の無さが魅力。

「呪いの土地」三部作と個人的には呼ばせてもらっているw

テイラー・シェリダンが扱ってきた舞台はすべて人間社会のフリした地獄。
その土地は本当に呪われているし、そこには夢も希望もマトモな生活もない。

生きるにはあまりにも過酷で、厳しい環境は心を落ち込ませて、絶望しか生まないし、誰もが逃げ出したいのに逃げられないのだ。
下劣で、おぞましい人間による悪魔の所業が繰り返されるだけの神に見捨てられた廃墟。

ウインド・リバーだってどう考えても地獄だった。

アメリカの中にありながら、まるでかけ離れた異世界。
雪に閉ざされ、静寂が包み込む凍った地獄だ。

ネイティブ・アメリカンの少女がレイプされ、凍死体で見つかった事件なんかはまさに地獄らしい事例。

テイラー・シェリダンは事件そのものより、この地獄の呪いを背負って生きる人間の姿を通して、ウインド・リバーの闇をとことん描き出す。

真っ当な犯罪スリラーの体裁だが、後半なんかかなり巧妙に構成されているし、静寂から一瞬で地獄絵図にシフトする辺りの演出は秀逸。

緊迫状態から興奮と恐怖が津波のように押し寄せる。

役者も素晴らしかった。

ジェレミー・レナーとかもはや大御所みたいな貫禄出てきてるし、エリザベス・オルセンはようやく役に恵まれ出したのは朗報。

コリャ傑作ですね。
「傑作」ってたぶんこの映画のことを言うんだと思います。

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