『すばらしき世界』

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役所広司が最高。
役所広司をひたすら楽しみ、役所広司だからこそのストーリーが力を得ている映画。
このポスターの貫禄と説得力出せるのは、邦画界で役所広司ぐらい。

そして、そんな役所広司を余すところなく演出しきる西川美和の力量ね。

感動させてくれるわー。

西川美和って凄いですよね。作ってる本数は少ないが、全部とことんじっくり煮込んで作り上げるので、見ごたえしかない。

世間に媚びたいという不純な気持ちだけで映画作ってるどこかの不真面目監督とは違うよね。

信念もポリシーもないくせに、数だけ打ってごまかす軽薄な園子温とは違うってことですw

『すばらしき世界』はその意味でも、素晴らしい映画でした。

殺人罪の刑期終えて出所仕立ての元ヤクザの中年男性がどうにか社会に馴染もうとする話。

本作では社会復帰に苦悩する主人公を精神的にも経済的にも支えてくる心優しい人たちが出てくるが、実際はそんな人たちに都合よく恵まれるはずがないのでもっと地獄なんだろうなって思った。

自決するかしないかの瀬戸際の危機で、助けもなく孤立するしかないのが現状。

主人公のように助けがあって、いざ社会で頑張ろうとしても、色んな場面で弊害や不利益が多すぎる。

もーね、もはや社会自体が狂ってるので、不器用でまっすぐな主人公が一番マトモに見える。

システムとしてもう破綻してるので、一度でも間違い犯して出戻りする人や社会的弱者を救えるはずがないよねってあきらめと冷ややかな気持ちがタイトルへ強烈な皮肉を込めている。

善良な人もいるし、花が美しいってことは理解するが、それ以上に理不尽で醜悪すぎるこんな世界なんておさらばしちゃうのが賢明だわなーって判断させてしまった「すばらしき世界」の価値って何?

まだ生きたいと思わせてくれなかったからこその、あの悲しすぎるラスト。

社会がそうさせた。

都合の悪いことには目を背け、なかったことにしたい。
それが社会の本音。

近所の通りを歩いていても、職場でも、色んな場所で、自分にとって都合の悪いことは起きている。

見て見ないふりしたり、自分殺して我慢するのが当たり前みたいな気持ち悪い考えがまかり通ってて、それをなんとなく見過ごしているのが何を隠そうオレら全員なので、マジでクソなのが社会です。

社会は人間なので、つまり、生きているオレら全員に責任がある。

こんな疲弊して、余裕もなく、神経ばかりすり減らす生きづらい地獄社会には、マジで怒れるジョーカーが必要だよねって思わせてくれる作品w

綺麗ごと並べるデ・ニーロに「これでもくらえ!」って銃弾ブチかます怒りがどこから来るのかを根底から理解するべきなのが社会。

ホアキン・フェニックスにぜひ観てほしいです。この映画の役所広司を。

話がそれたが、西川美和さんは過小評価されすぎ。

主人公のなまりが強すぎて、半分ぐらい聞き取れなかったという点で、DVD仕様の字幕なしという不親切が唯一の不満だった。

そこ以外は日本映画を代表する名監督と名優による名作。

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