『アオラレ』に便乗したタイトルの割には、ちゃんとしてた。
ちょっと生ぬるさもあるが、ちゃんと面白かったです。
原題がSHUT INなので、ストーリーの状況を言い表すには『トジコメ』も間違ってはいないしね。
薬物中毒を克服してる最中の頑張りシングルマザーが、親愛なる伯母の遺産のオンボロ屋敷から引っ越しの準備中に、中から絶対に開かずの頑固な物置き部屋にトジコメされちゃって、なんとか脱出試みるシチュエーション・スリラー映画ですね。
やってることはシンプルです。でも、良く出来てますよ。
低予算で、スターも不在ですが、確かな面白さで、まぁオッケーですね。
扉があまりにも最強というか、アンブレイカブルにも程があるという都合の良さがありますが、めちゃくちゃ頑丈なんだなぁぐらいに気にせずに、どうなることやらという展開を見守って欲しいと思いますw
扉の向こう側には一から十までお世話が必要な幼な娘だし、2階には乳飲み子の弟なのだ。
何がどうなってるのか知る由がない知能の未熟さなので、可愛いだけの幼な娘はノコノコと扉の前にやってきては「ママ早く出てきて」とか「おなかすいた」とか幼稚でアホな発言をノンキにのたまう始末w
そりゃそうです。
娘、幼すぎww
それでも母親がバカでも分かるように上手に事情を説明して、こじあけ道具を持ってこさせたりと奮闘。
トジコメ時間が長期戦になってきて、夜は近づき寒くなり、弟は泣いてるし、みんなの食事はどうすんの?ってなるしね、自宅にいるのにサバイバルしなきゃならない状況は実は珍しくて、新しいスタイルかもしれないw
後半はジャンキーの薬物狂いの元ダンナの危険な仲間であるヴィンセント・ギャロが自宅にわざわざ寄ってくれて、よりによって子供好きすぎるロリコン犯の疑いありますよというね、これまたさらにサスペンスが高まる仕掛けw
ヴィンセント・ギャロの堕落したチンケな犯罪者っぷりが意外というか、物凄くしっくり来てて、たぶんリアルに近いんじゃないかとさえ思わせますw
鬼のように頑丈すぎる扉一枚を挟んで身動きとれなくなった母親と状況が呑み込めず三輪車でウロウロする娘とのやりとりが物音だけで場面を想像させたり、狭い空間ながらも流ちょうな画作りの演出で結構な手に汗握るサスペンスw
母親も母親で、そりゃ自分なりに大変な精神状態で苦労してました。
部屋の中での目の前の薬物からの誘惑や性悪なギャロさんからの嫌がらせ、心細がってる幼な娘を助けられない無力さと向き合ってました。
同時に伯母さんの意志を発見して、負けそうな弱い自分との闘いでして、自分と子供たちのためにガッツ出すわけです。
伯母が遺してくれたのは、このオンボロ屋敷だけじゃなく聖書の教えとアップルバタージャムの作り方だったといういい話でしたというホッコリなハッピーエンド。
母娘が幸せに暮らしましたという終わり方は出来すぎでファンタジーすぎるけど、ダレることのない良質サスペンスだし、若手の主演女優さんの一生懸命な熱演や三輪車娘の愛らしい自然体演技でなかなか悪くない『トジコメ』。
結果として、DJカルーソさんが、どう考えても面白すぎた『トリプルX:再起動』が興行的にコケてしまった後に原点回帰で挑んだシチュエーションスリラーは面白かったです。
初期の頃の『ディスタービア』とかやってたあたりの思い出されるし、手慣れた手腕でしっかり楽しめました。
やっぱワンシチュエーション物もそうだし探偵物、事件物とかスリラーが得意なのよこの人はw
また機会があったら大掛かりで、大味な魅力のハリウッドアクション大作も作って欲しいもんですがw